年越しにそばを食べるのはなぜ?
本題に入る前にいきなり脱線。
私が小学 6 年生の時に母が内職程度に新興住宅街で「そば屋」を始めたのは以前どこかで書きました。
4人掛けのテーブルが 3 組だけの小さな店でしたが味が良かったのかオープンと同時に大繫盛。
50 年近く前のことで日本が高度経済成長期の頃で、子供ながらに活気があるのを感じていました。
出前も多く学校から帰って来ると出前など店の手伝いをしていました。
そしてなんと言っても出前が一番多い日は年越しそばの大晦日です。
夜は 19:00くらいに始まり最終は 23:30 迄、30 分刻みで受けた注文の伝票をホワイトボードに貼っていきます。
30 分毎に 10~15件くらいを 4 人で配達して行きます。
メニューは「よろこぶ」ということで「昆布蕎麦」のみ。
とろろ昆布とおぼろ昆布、刻み葱と蒲鉾が入ったシンプルなもの。
この日ばかりは回収の要らないプラスチックの容器で配達です。
今、思い出しても笑うのですが自転車の前かごには誕生日か何かで買ってもらった「ナショナル・マック」(これわかる人はかなり昭和。ナショナル→Panasonic。マック=ラジオ付きカセットレコーダー)でラジオを聞いていました(笑)。
最初は「日本レコード大賞」次に「紅白歌合戦」そして出前の最終の頃は「ゆく年くる年」で除夜の鐘が「ボ~ン」と聞こえてきました(何とも言えず平和な世の中でした)
そして何よりも嫌なのは同級生の女の子の家への配達です。
特にちょっと意識していた子の家に行くのはとても恥ずかしい想いをしたのを鮮明に覚えています(笑)。
私の「晦日そば」の思い出話はこれくらいにして本題に入りたいと思います。
大晦日に年越しそばを食べるのはなぜでしょうか?
「年越しそばを食べる理由には、いくつもの説が伝えられています。
細く長いそばは寿命を延ばして家運を伸ばす、栽培中のソバは風雨に当たっても起き直るために捲土重来(けんどじゅうらい=物事に一度失敗した者が再起を果たす)の象徴とされています。
さらに、ほかの麺類に比べて切れやすいことから、苦労や借金を年内に切り捨てて翌年に持ち越さないようにとするために食するといわれています。
また、そばには食物繊維が多く含まれていて内臓の老廃物を取り去る効能があるとされ、年越しそばを食することで新陳代謝を高めて、新しい年を迎えたいとゆう考えです。
晦日そばの名前の由来は江戸時代、大阪の商家主人が忙しい晦日(月末)に働いてくれた奉公人をねぎらう意味で「三十日(みそか)そば」が食べられており、この習慣が年末の大晦日だけに残り年越しの風習のひとつになったようです。
晦日そばは何時ごろたべれば良いのでしょうか?
「一年の厄災や苦労を切り捨てて翌年に持ち越さない」という年越しそばの意味から、大晦日中に食べるのであれば特に時間は決まっておらずいつ食べても良いものなのです。
除夜の鐘を聞きながら風情を感じるために年越しまであと少し、という 12 時近くに食べる方も多いようです。
どんなお蕎麦を食べるの?
全国には晦日そばに色々なおそばを食べる風習がありますが、京都、北海道は「にしんそば」、島根県は「釜揚げそば」、福井県は「越前おろしそば」等があり、調べてみるのも楽しいでしょう。
薬味にネギを入れるのは、疲れをねぎらう意味の「労ぐ(ねぐ)」と祈るという意味の「祈ぐ(ねぐ)」をかけていると言われています。
最後に
年越しそばは古くから伝わる日本の伝統行事です。一年を振り返りながら来年への祈願とともに年越しそばをゆっくり味わってみてはいかがでしょうか。