そばの美味しい茹で方
生そばを美味しく茹でる三か条
一、大きな鍋で、1 回に一人前ずつ茹でる
二、茹で時間を正確に厳守する。(茹で過ぎ厳禁)
三、茹で上がった蕎麦を冷水で締める
蕎麦屋では、打ち上げた蕎麦を茹でる職人を「釜前(かままえ)」と呼びます。
釜前は通常その店で一番熟練した職人が担当します。それは細心の注意を払って打ち上げた蕎麦の食感を、最高の状態に仕上げられるかどうかは、茹でるという工程にかかっているからです。
実際、この「釜前」の腕前次第で店の売上げが変わると言われています。
それはここで茹で上げられた蕎麦の良しあしでもう一枚追加注文を頼もうという事になるからです。丁寧に打ち、切った生そばを自分が釜前となって最後の仕上げをする。生そばを生かすも殺すも茹でる人の腕次第です。
ここではご自宅で蕎麦を茹でる際の重要なポイントを述べていきます。名店の釜前になったつもりで、茹での作業に挑戦して下さい。
一、大きな鍋で、1 回に一人前ずつ茹でる
ご自宅で蕎麦を茹でる第一の要点はできるだけ大きな鍋を用意して沸騰した大量のお湯で一人前ずつ茹でること。
通常生そば一人前の重量は約140g~180g。家庭用の鍋で、短時間で麵の中心まで均一に火を通すには茹で作業一回につき一人前が限界です。鍋は直径30cm、深さ20cm位の大きさのものが必要です。そこに水を3~4 リットルを入れ火に掛けます(鍋の深さに水は七分目までにして下さい。それ以上水を入れると蕎麦を入れて沸騰した時に鍋から湯が吹きこぼれてしまいます。)
お湯が沸騰すると一人前の蕎麦をバラバラとほぐしながら鍋に投入します。
次に菜箸でサッと 5,6 回かき混ぜて鍋の底でそばが団子になるのを防ぎます。
二、茹で時間を正確に厳守する。(茹で過ぎ厳禁)
次に大切なのは茹で時間です。
蕎麦を入れて一度温度が下がりますが再び温度が上がり再沸騰して弊店の手打ちそばの場合は約 40 秒くらいです。沸騰した湯の中で蕎麦が踊っている状態を維持する。吹きこぼれてそうになると火力を弱める。差し水はしない。
三、茹で上がった蕎麦を冷水で締める
第三の要点は蕎麦を素早くすくい上げ、水を張ったザルとボウルに入れて流水で表面のぬめりを落とすように洗います。(生そばは切れやすいので優しく洗います)
ザルを上げて水を切ります。
次に氷を入れた冷水に浸して蕎麦を締めます。
急速に締めることで強い腰が生まれ、食感が良くなります。
そして水を切ってから盛り付けます。
麵を一気に器に盛らず、3,4回位に小分けして盛ると食べやすく見栄えも良くなります。
これら 3 点に注意して上手に蕎麦を茹でれば、お店で味わう蕎麦に劣らないほどの味と香りと喉越しを楽しむことが出来ます。
もちろん、湯がきたての蕎麦を直ぐに召し上がって下さい。それから蕎麦出汁や薬味を用意しているのでは、蕎麦が延びてしまいます。
前もって用意して下さいね。
同じ湯で2~3回茹でると蕎麦が湯を吸って湯量が減ります。さらに蕎麦の澱粉質が溶け出した湯は濁り表面には白い泡が浮かんで、湯が吹きこぼれ易くなり、この状態ではお蕎麦を美味しく湯がくことは出来ません。
そば湯用の茹で汁を別の容器に移して全体量の半分位は湯を入れ替えて次の蕎麦を湯がいて下さい。
別の項で述べましたがそば湯には蕎麦の栄養分が溶け出しておりますので、是非お召し上がり下さい。